今回のWiLLのテーマは「歩」です。
通常は、「く」をつけて「歩く」になります。

この字は、「止まる」という字と「少ない」という字が、上下に並んだ字であることに気がつきました。
人生を振り返った時に、「歩」という文字に当てはめるのなら、止まったり少なく動いたりする歩み方もあるのだと思います。

駆け足の人生も良いですが、しっかり、じっくりと踏みとどまって、周りを見て、
その情景や風景を味わいながら、一つ一つ心に噛みしめながら生きていくのも良いのではないかと思います。

 

今から27年ほど前の出来事です。
ある時自宅に郵便局から、不在者通知が入っていました。

その用紙を持って、仕事帰りに郵便局に荷物を取りに行きました。
その時に身元証明として免許証を見せたのですが、記載されている更新時期の日付がおかしいのです。
3年ほどずれていました。

「え?」と思い、慌てて郵便局の方に年号を確認しました。
「平成○○年ですよ」と言うので、大変なことが起きてしまっていたことに初めて気がつきました。
その瞬間、気が動転して、なぜ3年も免許の更新をしなかったのか?・・と焦りました。

原因として考えられたのは、ちょうどその時期に家の引っ越しがあったため、
通知が来ても見落としてしまったのではないかということです。

すぐに車に乗るのをやめました。
そして、ホームセンターで自転車を買ってきました。

次は免許を取り直さなくてはなりません。
最初は教習所に通うつもりでしが、その時期は高校生が卒業し、免許を取るために予約でいっぱいでした。
それなら、交通安全センターの一発試験で取れる、という話を聞きましたので、それにチャレンジすることにしました。

しかしそれが全く簡単なものではなかったのです。
仮免をとる段階で、走るコースがわかりません。
教官の言うままに走ります。
そうするとブレーキや目視での安全確認、また発進するタイミングが全く合わなくなります。
ハンドルの持ち方も全てがチェック項目になります。

そのため、合格が出来ません。
結果、7回のチャレンジで、やっとの思いで免許が再取得できました。
毎日行けるわけではありませんから、最低1ヶ月以上かかったと思います。

その間、出勤は当然自転車、そして片道1時間以上かけて交通安全センターにも通います。
日常の移動手段は全てが自転車になりました。

自転車ですから、車のように速く走ることは出来ません。
また車と違い、外気にさらされながら移動します。

 

その時に気がついたことがありました。
それは町の風景と匂いです。
幹線道路を走ると、車の排気ガスの匂いが気になります。

一方、細い道に入るとその匂いは途端に無くなり、草花の良い匂いが感じられます。
また走るスピードは、車の何分の1ですから、見えてくる風景が違って見えます。

今までは目に映っていても気がつかなかった草花、道路の路肩の雑草、
その自然の姿を改めて見ることができたのです。

どうやら目の前の何気なく存在しているものに対して、いつの間にか感じ取れる感性が失われていたようです。
それがゆっくり移動し、周囲を見ることで、
初めて自然の中で生きているのだ、生かされているのだ、
という感情が芽生え始めたのです。

自転車移動となったおかげで、いろいろな気づきがあったのです。

 

それは人生も同じです。
私も会社勤めの時は業務や雑務で、様々なことに追われていました。

そのため、家庭の中での妻や子供とのふれあいや地域社会での関わりなどに対しても、
全てがおろそかになっている自分の姿がありました。

今振り返ってみれば、その当時は、当たり前のような目の前の大切なことを見落としてしまっていたと思います。
時代背景や職場環境と言うこともあったかもしれません。
しかし、もし許されるのであれば、そして目の前で展開していることに、もう少ししっかり見つめることができていたら、
もっと家族との調和も図ることが出来、また自分自身の心の栄養にもなっていたのではないかと思います。

 

目標に突き進むことだけではなく、「歩むこと」で、ゆっくりと進む、ある時は立ち止まる、
ということも、実はそれは人の魂を成長させ、心の豊かさを作るための必要不可欠なことになるのではないかと思います。
それは、自問自答が出来るゆとりが出来るからです。

今の私は、自営で仕事をするようになったことで、
昔に比べたら、少し心にゆとりが出来てきたかな、多少はゆっくりと周りを見渡せるような心になってきたのかな、
と思う今日この頃です。


【波動エネルギーを 心身の健康と運勢に生かす】SE研究所  穂苅秀郎

https://selabo96.com

1957年松本市生まれ、長野市在住。幼少より目に見えない世界、不思議な世界に興味があり、やがて高橋信次氏の著書に出会い、あるべき人間の姿の真髄と、目に見えない世界を読み解く世界に触れて大きな衝撃を受ける。以来、心の正しさと、波動を高める探求を続ける中でダウジングによる波動測定、波動改善技術を確立し、2005年にSE研究所を設立、現在に至る。上越を始め長野、東京、全国各地で「心と波動の勉強会」を開講。また個人相談も行い、多くの人々を悩みの解決へと導く。穏やかで愛情溢れる波動測定、改善技術には定評がある。


≪ SE研究所 所長 穂苅秀郎さんのこと