Make up your mind and jump out
海が青いからって
あなたまで青くならないで
もっと自由に泳いでいいよ
赤でも黄色でも
あなたの好きな色でね
今日は何色にしましょう?
4月の終わりに、雪がまだ少し残る高原へ行ってきました。
冬のリゾートとしては遅く、夏にはまだ早いといった季節の旅行。
県外へ出かけたのも久しぶりでした。
私は海の近くに住んでいます。
山と海どちらが好きかと聞かれたら、迷わず海と答えます。
木に囲まれた森で森林浴も気持ちがいいのですが、視界が広がる海のほうが心地よいと感じます。
山好きな友人が多く、ときどき山菜採りや山登りにも誘われていましたが、断っているうちに今では誘われなくなりました。
またそれも寂しいと思う今日この頃です(笑)
高原は、山と言っても開けた地形で開放感があります。
山道を登って行った先にある緩やかな平地で、大自然が広がり心が癒されるのを感じます。
海好きでもこの景色には、ため息が出るほどの美しさに感動します。
緑が濃くなる前でしたが、空の青と芽吹き始めたばかりの新緑の緑、残雪の白、まだ綺麗に咲く桜のピンク色、自然界の色のコントラストは海では見られない景色で最高でした。
「開放感」というと、家づくりの空間デザインによく用いられている言葉です。
広々とした間取りで、圧迫感の少ない設計をされている住宅は開放的な印象です。
昔の住宅で暮らしていて思うことは、天井が低いことや収納スペース(押入れ)が多いということ。
低い位置の窓も多いので大きな壁はありません。
近年の住宅の窓は高い位置にあるので、落書きしたくなるような真っ白い大きな壁も作ることができます。
好きな絵を飾ったら素敵だろうな、と何年も憧れていました。
ですが、それも最近では諦めています。
今の古い住宅の暮らしを楽しむのもいいのかな…と思うようになりました。
壊れたら修繕は必要ですが、そうなったときに考えようという前向きな諦めです。
今の生活に満足できなければ、大きな白い壁の家を手に入れたとしても、また違った不満が出てくるのかもしれませんし、いつまでたっても憧れは消えないと思うのです。
新しい家と比較するから不満が出てくるのであって、他の何とも比べなければ今の現状に満足できます。
比較して不満になることの対象は住宅だけではありません。
持っている物や仕事の内容、自分に備わっている資質でさえも人と比較してしまいがちです。
「隣の芝生は青く見える」
ということわざがあるように、人は他人と比べたがります。
羨ましいという気持ちが自分の心を狭くしていきます。
なぜそう感じてしまうのかというと、
自分が置かれている今の状況がうまくいっていないときに、この先の将来に対する不安や焦りが出るからです。
不満や羨ましいと思う気持ちは、現時点ではなく明日以降の未来への不安が大きいようです。
これから出会う人と、同じ物を持っていたら安心、同じ行動をしていたら安心、経済的にも同じくらいなら安心、といった具合に周りの人たちと同じであれば安心するのです。
もしも自分だけが違っていたら、周りの人たちに合わせることもあるでしょう。
自分の心の声を無視して相手に合わせるかもしれません。
「今どき持ってないの?」と悪気のない言葉でも、自分がおかしいのではないかと無理をして買ってしまう人もいるかもしれません。
「そんなこと普通は言わないよね」と言われたら、自分の発言が普通ではないのか?間違っているのか?と不安になる人もいるでしょう。
何が普通と言えるのかは、その人の基準でしかないのですが、その「普通」に賛成する人が他にもいると不安になってしまいます。
『ハーディング効果』といって、多数派に同調することで安心感を得る心理現象があります。
自分だけが孤立しないように周りの人に従って、あるいは流されてしまう現象です。
「みんながやってるから」と学生時代の悪ふざけも似たようなものですね。
同じことををすることで安心感が得られるのです。
このように、人というものはとても弱いもので、集団になればなるほど自分の考え方の優先順位が低くなります。
さらには、隣の芝生の青さが気になり、自分の芝生は青くないと思い込んでいきます。
本当は個性的な青でとても鮮やかな色をしているのに、この青がくすんで見えているのです。
多数派に同調することと他人を羨む気持ちは、直接的には同じではありませんが、心理的には共通しています。
自分の状況に対する不満や不安が、どちらも根底にあるのです。
他人よりも劣っていると思い込んでいて、安心感を得たいのです。
本当の意味での「安心感」は、開放的なところから生まれます。
心を開放して物事を俯瞰して見てみると、隣の芝生も自分の芝生も、どちらも青いことに気づきます。
多数派に流されて「開放感」を失っていたら、ますます視野が狭くなっていくことでしょう。
また、思い込みや無意味なこだわりは捨てて良いと思います。
「芝生は青でなければならない」というこだわりがあるのなら、心を開放してあげて美しい景色を見に行きませんか?
もしかしたら、旅行先の高原の景色が綺麗に見えたのは、開放した心が見せてくれていたのかもしれませんね。
